【改正建設業法】資材高騰・工期遅延の価格転嫁はどうなる?国交省の最新通達をわかりやすく解説!

中東情勢の緊迫化などに伴い、石油やナフサをはじめとする建設資材の価格高騰、エネルギーコストの上昇が続いています。「資材が値上がりして利益が出ない……」「納期が遅れているのに、工期を延ばしてもらえない……」そんな悩みを抱える建設業者の方も多いのではないでしょうか。

こうした状況を受け、国土交通省は令和8年、建設業団体や発注者団体に対して「適切な価格転嫁や工期変更の協議に応じること」を求める強力な通達を出しました。

今回は、改正建設業法を踏まえた「価格転嫁」と「工期変更」のルールについて、受注者・発注者双方が知っておくべきポイントを分かりやすく解説します!

改正建設業法のカギ「おそれ情報の通知」とは?

今回の法改正で最も注目されているのが、「おそれ情報の通知」という仕組みです。

これは、契約をバシッと結んでしまう前に、受注予定者から発注者に対して「将来、資材が高騰したり遅延したりするリスク(おそれ)がありますよ」とあらかじめ伝えておくルールです。

具体的にどんなことを通知するの?

  • 主要な資機材の不足、納期の遅延、価格の高騰
  • 天災や人為的なトラブルによる、労務(職人さんなど)の不足や人件費の高騰

契約前にこの通知をしておけば、実際に資材が高騰したときに「事前に話していた通り、契約内容(金額や工期)を変更させてください」とスムーズに変更協議を申し出ることができます。また、発注者側もこの申し出に対して誠実に協議に応じるよう努める義務があります。

変更協議に応じないと「建設業法違反」になるリスクも!

国交省のガイドラインでは、発注者が取引上の立場を利用して変更協議を拒否し、受注者に無理を強いた場合、建設業法違反になる可能性が明記されています。

発注者側が特に注意すべきなのは以下の2点です。

  1. 不当に低い請負代金の禁止(法第19条の3第1項)
    • 資材費が跳ね上がっているにもかかわらず、発注者が頑なに増額を拒み、結果として工事にかかる「通常の原価」を下回る金額で受注者に施工させた場合、法違反となる恐れがあります。
  2. 著しく短い工期の禁止(法第19条の5第1項)
    • 資材の納期遅延など「受注者のせいではない理由」で工事が遅れているのに、発注者が工期延長を認めず、通常では不可能な短い工期で工事を強行させた場合も、法違反に問われる可能性があります。
要チェック

「最初にこの金額・工期で契約したんだから変えないよ」という一言は、今の時代、法律違反のリスクを孕んでいます。

工期が延びた場合の「追加費用」は誰が払う?

「工期を延ばすことは認めるけど、その分の人件費や現場維持費はそっち(受注者)が持ってね」というのもNGです。

ガイドラインでは、工期変更によって増えた費用について、発注者と受注者が十分に話し合って負担を決めることを求めています。

発注者の一方的な都合で協議を拒否し、増えた費用をすべて受注者に押し付けた結果、原価割れしてしまった場合は、やはり建設業法違反(不当に低い請負代金の禁止など)になる恐れがあります。

【重要】事前の「おそれ通知」をし忘れていても協議はできる!

「契約するときに、資材が高騰するおそれなんて通知してなかった……」という方もご安心ください。

今回の通達で最も強調されているポイントの一つが、「事前に通知していなかったこと『だけ』を理由に、発注者は変更協議を拒んではいけない」ということです。

予期せぬタイミングで資材高騰や遅延が起きた場合でも、事前の通知の有無にかかわらず、発注者は受注者からの変更協議に誠実に応じる必要があります。

まとめ:泣き寝入りせず、まずは「変更協議」のテーブルへ

今般の資材高騰や納期の遅延は、建設業者の責任ではありません。国交省も「これは協議の対象となる典型的なケースだ」と断言しています。

受注者のみなさまへ
「発注者との関係が悪くなるかも……」と心配せず、今回の改正建設業法や国交省のガイドラインをベースに、まずは誠実に変更協議を申し込みましょう。

発注者のみなさまへ
パートナーである建設業者と、適正な価格・適切な工期について本音で話し合うことが、結果として工事の品質を守り、法令違反(コンプライアンス違反)を防ぐことにつながります。

「お互いに誠実に話し合うこと」が、これからの建設業界のスタンダードです。
まずは一歩、相談の場を設けてみてはいかがでしょうか。

【参考情報】
国土交通省:発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第8版)より抜粋・解説


Q
事前の「おそれ情報の通知」は、口頭で伝えても有効ですか?
A

トラブル防止のため、書面(メールや書面、契約の特記仕様書など)で残すことを強くおすすめします。
法律上、通知の形式に厳格な決まりはありませんが、後から「言った・言わない」の揉め事になるのを防ぐため、具体的な資材名や高騰のリスクを記載した書面やメール等で発注者に提出し、履歴を残しておくのが確実です。

Q
発注者に変更協議を申し入れたら「一括発注(固定金額)で契約したから応じられない」と言われました。諦めるしかないですか?
A

諦める必要はありません。当初の契約形式にかかわらず、発注者には誠実に協議に応じる努力義務があります。
今回の通達でも、資材価格の高騰は「受注者の責によらない事情の変更」であり、協議の対象となる典型的なケースとされています。「契約時の金額だから」という理由だけで発注者が一方的に協議を拒否し、原価割れを強いるような場合は、建設業法違反(不当に低い請負代金の禁止)に該当する可能性があります。

Q
「おそれ情報」を通知していなかった資材が、契約後に急騰しました。本当に今からでも値上げ交渉(変更協議)をしていいのですか?
A

はい、可能です。事前に通知していなかったことだけを理由に、発注者が協議を拒否することは認められません。
国土交通省のガイドラインでも、事前に通知がなかった場合であっても、契約後の状況変化に基づいた変更協議の申し出に対して、発注者は誠実に応じることが求められると明記されています。気づいた時点で早めに根拠データ(価格推移の資料など)を用意し、協議を申し込みましょう。

Q
工期延長に伴う「追加費用(現場維持費や警備員代など)」は、全額発注者に請求できますか?
A

全額を一方的に押し付けるのではなく、「双方で十分に話し合って決める」ことがルールです。
工期が延びた原因や、実際に増える費用の内訳をオープンにし、発注者と受注者で負担の割合を協議する必要があります。発注者が一切の費用負担を拒否し、増額分をすべて受注者に負担させた結果、原価割れになってしまう場合は、建設業法違反となる恐れがあります。

Q
民間の一般施主(個人)の発注であっても、この法律や通達は適用されますか?
A

はい、適用されます。建設業法における「注文者(発注者)」には、民間企業だけでなく個人の施主も含まれます。
ただし、個人施主の場合は法律の知識がないケースがほとんどです。受注者側から「中東情勢による資材高騰の現状」や「法律に基づく変更協議の仕組み」を、丁寧かつ分かりやすく説明し、納得を得ながら進めることが大切です。


行政書士の仕事は、5年に1回の許可更新だけではありません。毎年の決算報告、法改正への対応、日々の契約書のリーガルチェック、そして万が一の取引トラブルへの備え……。これらを社長お一人で、または現場の事務員だけで網羅するのはリスクが大きすぎます。

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